山六木材の新築住宅施工事例
山六木材では、フォーセンスをどのように活用していますか。
当社では、フォーセンスの「デザイン住宅開発マニュアル」を、平成20年(2008年)11月に導入しました。導入して、4年3ヶ月が経ったところです。当社のフォーセンスの活用の仕方は、普通とちょっと違うかもしれません。
「普通と違う」と言いますと?
フォーセンスの会員さんのほとんどは、「デザインで集客して、商品化住宅を坪単価基準で販売する」ために、フォーセンスを活用していると思います。
当社は、今、集客ではデザインを前面に出していません。フォーセンスから提供されたデザイン住宅の写真は、チラシやホームページには、大きく載せていません。メインの集客ツールであるチラシやミニコミ誌広告では、住宅の写真より、手書きの文字やイラストをメインに使って、「体に優しい、自然素材の家を建てる、職人の顔が見える工務店」としての姿勢を前面に出し、親しみやすい感じでアピールしています。
手書きの文字やイラストを主体にしたチラシ。住宅の写真は前面に出していない。
営業の進め方については、「家のデザインをお客さんと一緒に決めていく」ことを、営業プロセスの中心に据えています。フォーセンスから提供されるデザイン住宅事例集は、お客さんと一緒にデザインを考えるための、出発点として使っています。お客さんが希望される場合は、まず設計図を描いていただいて、そこを出発点にデザインを決めていくこともあります。
ですので、当社が建てる家は、大きくはフォーセンスのデザインルールに従いながらも、一軒一軒が個性的です。
なぜ山六木材は、集客でデザインを前面に出していないのですか。
一つは、「体に優しい自然素材の家を建てる、職人の顔が見える工務店」として地域のみなさんに覚えていただくためには、あえてデザイン性の高さを前面に出さない方がいいからです。
当社の「山六木材」っていう社名自体、フォーセンスの、あのデザイン住宅のイメージではありませんよね。
もう一つは、デザイン性を前面に出しながら、年100棟規模で展開してる工務店が、同じ地域に既にあるからです。そこと競合するポジションニングをしても、仕方がないと考えました。
なぜ山六木材では、「家のデザインをお客さんと一緒に決めていく」ことを、営業プロセスの中心に据えているのですか。
一つには、「お客さんと一緒にデザインを決めていく」というプロセス自体が、営業成約率の向上に役立つからです。プロのアドバイスを受けながら、自分の好みに合う家のデザインを仕上げるのは、お客さんにとって楽しい作業です。学びながら頭や手を動かしていただくことで、ごく自然に、当社で家を建てるイメージを固めていただくことができます。
もう一つは、お客さんと一緒にデザインを決めるプロセスが、口コミの拡大にも役立つからです。用意されたデザインから選んで建てた家より、自分たちでデザインして建てた家の方が、お客さんにとって、ずっと大きな達成感や満足度が得られます。そのぶん、熱い口コミを期待できます。
それに、お客さんに学んでいただいたデザインノウハウ自体が、そのまま「山六木材で家を建てたほうがいい理由」として、知り合いに話す時の「口コミのネタ」になってくれるんですよ。
フォーセンスの「デザイン住宅開発マニュアル」は、どのように活用しているのですか。
フォーセンスの「デザイン住宅開発マニュアル」は、主に営業プロセスと、住宅のコストダウンに活用しています
。
ではまず、営業プロセスに「デザイン住宅開発マニュアル」をどう活用しているかを教えてください。
先ほど申し上げた「お客さんと一緒にデザインを決めていく」という営業プロセスで、営業マンがお客さんにデザインについてアドバイスをする時、「デザイン住宅開発マニュアル」のデザインノウハウが、とても役立っています。
「デザイン住宅開発マニュアル」の導入研修で教わった、「こうすれば家は美しく合理的になる」というルールは、当社の営業マンたちにも理解できるものですし、お客さんに説明して納得していただけるものです。
たしかにお客さんにデザインを考えていただけば、お客さんの達成感や満足度は高まります。だからと言って、素人のお客さんがデザインした家をそのまま建てても、お客さんが満足する家にはなりません。お客さんが考えたデザインを、我々プロが、上手に直していく必要があります。とは言っても、お客さんが考えたデザインを、ただ否定するわけにもいきません。「どうすればより美しいデザインになるのか」を、理屈で説明して、お客さんに納得していただく必要があります。
当社の営業マンたちが、美しく合理的なデザインについてお客さんにアドバイスすることを通じて、お客さんの信頼を勝ち取れているのは、フォーセンスで学んだデザインノウハウがあるおかげです。
それだけではありません。
当社は、自然素材の家を、中越地域で一番安く売ることを目指す工務店です。家を安く建てるには、構造をできるだけシンプルにする必要があります。また、ここ新潟は豪雪地帯ですから、住宅の耐雪性を高めるためにも、構造をシンプルにする必要があります。最近は太陽光発電の人気も高いので、太陽光発電ユニット分の耐荷重性を確保するためにも、シンプルな構造が要求されます。
ところが、構造をシンプルにしてしまうと、いかにも安っぽい家になりがちです。安っぽい家しか作れなければ、適正な利益は確保できません。
自然素材の家をお求めのお客さんにとっても、お友だちやご近所から「いいわね」と言ってもらえるデザインの家にすることは、大切なことです。「体に優しい自然素材の家を建てる、職人の顔が見える工務店」をアピールするだけでも、集客までならできます。しかし、営業マンの説明を聞く段階に入ると、「デザイン性の高い家を建てられる工務店」という条件をクリアしない限り、なかなか成約まで至りません。
フォーセンスで学んだデザインノウハウは、家の構造をシンプルにしながら、しかも美しく見せるためにも役立っています。
フォーセンスから提供されるデザイン住宅事例集を、デザインを決めるたたき台としてお客様にお見せすると、「デザイン性の高い家を建てられる工務店」として、一発で認めていただけます。集客の段階ではデザイン性の高さをアピールしていないぶん、デザイン住宅事例集を開いた瞬間の印象が、鮮烈なようです。これだけでも、成約率がずいぶん違ってきていると思います。
住宅のコストダウンに、フォーセンスはどう役立っていますか。
「デザイン住宅開発マニュアル」の導入研修で学んだ方法で、部材の仕入価格や工事の費用を交渉したところ、トータルで、1棟あたり百万円単位のコストダウンができました。消費税分ぐらいのコスト削減にはなっています。
コスト削減と言っても、発注数を確保した上での単価引き下げですから、協力会社にも職人にも、損な話ではありません。コストを下げられた分、より良い素材を使えているので、お客さんも得をしています。お客さんにとって付加価値の高い家を建てられるので、当社も無理な値引きをする必要がありません。フォーセンスのノウハウを活用することで、誰も損しない状況を生み出せています。
フォーセンスを導入するにあたり、豪雪地帯ならではの工夫はしていますか。
たとえば、あの寄せ棟の軒を大きく出すデザインを、このあたりでそのまま取り入れると、冬は雪が隣の敷地に落ちてしまいます。ですので、軒の寸法を詰めるなどの工夫をしています。
フォーセンスのデザイン研修では、デザインの根本のところを教わっているので、寸法の変更などの応用も効きます。
「近隣の工務店がフォーセンスを導入しても、当社は困りません」
新潟県三島郡出雲崎町で自然素材の家を手がける工務店、株式会社 山六木材(やまろくもくざい)では、シンプルで美しい家をお客さんと一緒にデザインしていく独自の営業手法に、フォーセンスの「デザイン住宅開発マニュアル」を活用しています。代表取締役の小林誠氏に、フォーセンスのデザインノウハウを活用した営業展開について詳しくうかがいました。